「リーダー」と言えば、あなたは誰をイメージしますか?スティーブ・ジョブズ?徳川家康?『ONE PIECE』のルフィー?
 
「リーダーシップ」はいろいろな職場で求められますが、実のところ、そこで求められるリーダーシップは様々です。「どんなリーダーシップを発揮したら良いか分からない……」と悩んでいるビジネスリーダーは多いのではないでしょうか。
 
今回は、マネジメントとリーダーシップの違いや、リーダーシップを発揮するためのコツ、立場や経験に関わらずぜひ意識してほしい「フォロワーシップ」についてご紹介します!

リーダーシップの意味・定義とは?

そもそもリーダーシップとは、一般的に指導者としての任務や素質、能力などを指す言葉。幅広いシーンで使われることもあり、その意味は使う人によってさまざまです。
 
とはいえ、ビジネスシーンでのリーダーシップについて考える際には、マネジメントとの違いを考えると理解しやすくなります。

リーダーシップとマネジメントの違い

上の図は、ビジネスを「家を建てる」ことになぞらえて、リーダーシップとマネジメントの違いを紹介したもの。これをまとめると、次のようになります。

リーダーシップ What(何を)を描く・示す

(例)
 ・どんな家が欲しいのかを示す
 ・設計図面などを使って未来を描く
マネジメント How(どうやって)を具現化する

(例)
 ・実際に家を作る
 ・基礎を作り柱を立てて現実のものにする

このように、リーダーシップは「What(何を)を考える役割」、マネジメントは「How(どうやって)を実行する役割」と捉えることができます。
 
この2つの観点から自分の仕事を見直してみることで、「自分はHowばかりでWhatを考えるリーダシップとしての役目が出来ていなかったな」「Whatを考えるばかりで、マネジメントに落とし込めていなかったな」と、新たな発見があるかもしれません。

リーダシップの具体例

なお、リーダーシップの役割の具体例としては、一般的に次のようなものが挙げられます。

リーダーシップの具体例

・ビジネスのビジョンを描く
・ビジネスの方向性を決める
・組織のメンバーの動機付けをおこなう

まさに、家を建てる際にビジョンを提示したり、設計図を描いて方向性を描くような役割といえますね。

リーダーシップが重要な理由とは?

近年、新聞などのメディアでも「リーダーシップ」というワードをよく目にするようになりました。リーダーシップがここまで重要視されるようになった背景には、「正解の型」がなくなったという時代変化があります。
 
かつて正解とされるものがあった拡大再生産の時代には、経験や知識などを持っている人が優秀とされていました。そのため当時は、いかに情報量を持っているかが重要だったのです。
 
一方で現代は、環境変化が大きく、数年後の見通しを立てることも難しい「正解の型がない時代」。正解がわからない現代においては、知識や経験以上に自らトライして経験を重ね、学びを得ていくことが重要です。
 
そういった意味で、決められた正解や目標へと導くマネジメントだけでなく、ひとりひとりが自分なりの正解やビジョンを描くリーダーシップが必要となってくるのです。

リーダーシップにも種類がある!理想のスタイルを見極めるポイント

リーダーシップは、人によって自分が発揮したいものも、職場で求められるものもさまざま。実際、世の中にはいろいろなタイプのリーダーが存在しています。
 
例えば、下記の中でリーダーと言えば、あなたは誰をイメージしますか?

A:スティーブ・ジョブズ(アップル創業者)
B:稲盛和夫(京セラ創業者)
C:イチロー(元メジャーリーガー)
D:栗山英樹(現プロ野球監督)
E:アドルフ・ヒトラー(ナチスドイツ党首)
F:アンネ・フランク(「アンネの日記」著者)

それぞれの人にリーダーという観点で比較してみることで、自分がイメージするリーダーシップの要素が見えてきます。

同じ経営者でも、スティーブ・ジョブズのような統率型のリーダーをイメージする人もいれば、稲盛和夫さんのような支援型のリーダーをイメージする人もいると思います。

スポーツでいえば、イチロー選手のようなプレイヤーにリーダーシップを感じる人もい
れば、栗山監督のようなマネジャーにリーダーシップを感じる人もいるでしょう。

また、ヒトラーをイメージすると、リーダーには「良い」「悪い」といった形容詞が必要かもしれませんし、アンネ・フランクが後世に残した影響力を鑑みると、リーダーシップは「いま」ではなく「数年後に残されたもの」で評価されるべきかもしれません。

または、身近な存在からロールモデルや反面教師を思い浮かべ、自分にとって参考になりそうな行動や特徴を挙げてみましょう。

というのも、先程例に挙げた著名人は、リーダーをイメージするには分かりやすいものの、あまりに自分とかけ離れた人を理想に掲げてしまうと、そのギャップや乖離に苦しむことになりかねないためです。
 
実は、自身のリーダーシップ開発の参考やヒントとなるものは、これまで身近に接したことのある同僚や知人にこそあるかもしれません。

【リーダーシップの種類】統率型と支援型とは?

リーダーシップというと、一般的に「統率型」のリーダーシップをイメージしますが、逆に「支援型」のリーダーシップも存在します。
 
あなたはどちらに近いでしょうか?

統率型リーダーシップ ・部下に対して指示・命令を伝え、遂行させる

・ティーチングに近いイメージ
支援型リーダーシップ ・部下の話を傾聴するなどして、部下の自主性を尊重する

・コーチングに近いイメージ

統率型・支援型のリーダーシップにはそれぞれメリット・デメリットがあり、自分のタイプやメンバーの状況によって発揮すべきリーダーシップは異なります。
 
例えば、右も左もわからない新入社員や未経験者にはティーチング型の統率型リーダーシップを発揮した方がよいでしょう。一方で、メンバーが成長するよう自走を促す場合には、コーチング型の支援型リーダーシップの発揮が必要になってきます。
 
自分やチームメンバーに合ったリーダーシップを発揮することがポイントです。

リーダーシップを発揮するコツは?ヒントは自己理解と状況把握 

では、実際に自分や組織に合ったリーダーシップを発揮するには、どうしたらいいのでしょうか?
 
リーダーシップを発揮するコツは、「自己理解」と「状況把握」にあります。

コツ①自己理解

1つ目のコツは、自己理解です。
 
というのも、自分自身が発揮できるリーダシップは、人によって異なります。支援型リーダシップを得意としている人もいれば、統率型リーダシップを得意としている人もいるでしょう。
 
自分が理想とするリーダーを真似できるかといえば、必ずしもそうではありません。
 
リーダシップを発揮するうえでは、それに必要な能力やスキルをふまえつつ、きちんと自己理解を深めておくことが重要です。

コツ②状況把握

2つ目のコツは、メンバーや組織の状況を正しく把握することです。
 
リーダシップの種類は、自分の個性や持ち味によって左右される部分はあるものの、それ以上に「周囲との関係性」が大きなカギとなります。
 
例えば、自分が統率型リーダーシップを発揮しやすいタイプだとしても、メンバーとの関係性や組織のフェーズによっては、それが唯一無二の正解とは限りません。もし自走する組織を目指すフェーズであれば、支援型リーダシップが求められる場面も出てくるでしょう。
 
このように、リーダシップを発揮するときには自分だけでなく、組織全体やメンバー個人といった他者への意識もポイントなのです。

リーダーになれるか不安…。誰もが発揮できる「フォロワーシップ」とは?

ここまでリーダシップの種類や発揮するコツを紹介してきましたが、「リーダシップを発揮できる自信がない」なんて感じている方もいるかもしれません。
 
そんな方におすすめしたいのが、リーダーシップの1種である「フォロワーシップ」を意識的に取り入れることです。
 
フォロワーシップとは、組織のリーダーを支援し、能動的・自律的に考えて行動することを指します。
 
一般的にリーダーシップは「上司や経営者が発揮するもの」というイメージがありますが、フォロワーシップは「権限がなくても誰しもが発揮できる」のが特徴。つまり、メンバーでも新入社員でも、誰しもが発揮できるリーダーシップと言っても過言ではありません。
 
リーダーとして自信が持てないという方は、まずは誰かを支援する「フォロワーシップ」を意識することから始めてみてはいかがでしょうか。
 
※フォロワーシップについては、こちらの記事をご参照ください。

リーダシップをより学びたい人におすすめの本

最後に、リーダシップについてより理解を深めたい人におすすめの本をご紹介します。

誰もが人を動かせる! あなたの人生を変えるリーダーシップ革命

誰もが人を動かせる! あなたの人生を変えるリーダーシップ革命 /森岡毅 (著)

あのUSJをV字回復させた立役者として知られる森岡毅氏による、「リーダーシップ論」をテーマとした書籍。
 
自身の悪戦苦闘のリーダーシップについてエピソードを交えて語られており、人を動かすヒントを得られるのはもちろんのこと、行動・実践していく後押しをしてくれる1冊となっています。

サーバント・リーダーシップ入門

サーバント・リーダーシップ入門 /金井 壽宏 (著), 池田 守男 (著)

資生堂の元社長である池田守男氏と、神戸大学大学院で教授を務める金井壽宏氏が、支えるリーダーとしての「サーバントリーダー」についてわかりやすく解説した1冊。
 
これまで「オレについてこい!」という姿勢こそがリーダーだと考えていた人にとっては、目からウロコの内容となっています。
 
時代とともに変化していく、新たなリーダー像を知りたい方におすすめです。

100人の壁を越えるなら「支援型リーダーシップ」の育成を!

リーダーシップの具体例やマネジメントとの違い、そしてリーダーシップを発揮するためのコツについてご紹介しました。

今回はリーダーシップの種類として「統率型」と「支援型」の分類をお伝えしましたが、自走する組織に育て上げ、“100人の壁”を突破するためには、支援型リーダーシップの開発が不可欠。

これまで統率型だけでやってきたという方は、ぜひ支援型も意識してみてください。

また、弊社クエスチョンサークルでは、問いを用いた支援型リーダーシップ開発・組織開発サービスを提供しています。

ご興味のある方は、ぜひ以下からお問い合わせください!