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【導入事例】木村石鹸工業株式会社

「受け身の組織から、明らかに自律型の組織へ変わってきた」

 

 
大正13年創業の老舗石鹸メーカーである木村石鹸工業株式会社は、2015年にクエスチョンサークルを導入されました。今回は代表取締役社長の木村祥一郎様に、導入当時の組織の課題感や、導入後に感じた効果について、弊社の宮本寿がインタビューさせていただきました。
 
 

入社時は営業利益がほぼゼロ、そこから自社ブランドを立ち上げ

 
宮本:まず、木村石鹸の事業についてご紹介をお願いします。
 
木村様:創業して今年で95年目になる、石鹸・洗剤のメーカーです。現在の従業員は40名ほどです。じつは石鹸って日本国内で作られているケースは少ないんです。石鹸のもとになる油は東南アジアで取れるため、そのまま東南アジアで加工されて石鹸になったものが日本に輸入されることがほとんど。でも当社は昔からある「釜炊き法」という製造方法を使って、油から石鹸を作り、その石鹸を原料として様々な洗浄剤に使っています。
 
販路としては、主に生協さんで使われている洗浄剤のOEMで製造をメインにやってきていたのですが、ここ4年くらいで、自社ブランドも立ち上げて伸ばそうとしているところです。
 

木村石鹸工業株式会社 代表取締役社長 木村祥一郎様

 
宮本:その自社ブランドの立ち上げについて詳しく教えてください。
 
木村様:当社はOEMで長年ビジネスをしてきました。ただ、2007年にデフレやリーマンショックがあり、一番下請けだった当社はその影響で営業利益がどんどん下がっていってしまいました。売上は横ばいなものの、利益が出せない体質になっていったのです。2007年以降はずっとそのような状態で、僕が2013年に会社に戻ってきた(注:木村様はITベンチャー企業の経営者の身から、家業を継ぐために木村石鹸に入社された)タイミングでは、営業利益はほぼゼロと言っていい状況でした。
 
その時に思ったのは、やはりOEMというビジネスの構造上、特定の取引先の依存度が非常に高く、それをどうにかする必要があるということです。特定の取引先に依存していると、値引き要請にも応えないといけないですし、原料も値上がりする中、利益を削っていくしかない。そういう状況でどう会社を立て直していくか、と考えたときに、我々の強みはOEMとはいえ商品を開発から製造、出荷まで一気通貫で作れる体制があることだ、と。そこで、強みを活かして自前で商品を作って盛り返していこうと思いました。
 
販路についても、ドラッグストアなどの量販店で大手の商品と戦っても勝負にならないので、視点を変え、インテリアショップや雑貨屋さんなど、従来は石鹸や洗剤を買う場所ではないところで、「生活の質を上げていくための一つの道具」として自社ブランドの展開を始めました。
 
この取り組みによって当社の露出が増えたこともあり、逆にOEMの仕事も増えました。大手通販系やテレビショッピング、あるいは中川政七商店さんや平野レミさんといった著名人からも一緒にやりたいとお声をかけていただけるようになった。そんな流れで、昨年度は全体の売り上げの中で自社ブランドが10%を超えるほどに成長しました。その勢いを保ちつつ、今まさに業績を立て直している真っ最中です。
 
宮本:10%超えですか!私が4年前に伺った時と状況と比べて、驚くような成長ぶりですね。
 
木村様:その時はまだ自社ブランドを立ち上げたばかりでしたから。今はようやくですが、売上の10%を超えるようになってきたので、社内的なプレゼンスも高まってきていますね。
 

 
 

当時は「仲はいいが、互いに遠慮している」組織だった

 
宮本:クエスチョンサークルを導入される2015年頃の、組織の状態や抱えていた課題など、導入の背景を伺ってもいいですか。
 
木村様:OEMというのは「オーダー(依頼)が来て動く」という受け身のビジネスです。そして組織は完全な職能型で、営業・開発・製造とそれぞれ部門が分かれていました。オーダーが来ると一応部門ごとに連携はしているけれど、必要な業務として連携しているだけの組織だったんです。
 
ただ、それが自社ブランドとしてやっていこうと思うと、オーダーありきで進むわけではないので、縦割り組織で言われたことだけやっていても仕方がない。2015年4月にブランドを立ち上げて、当初メンバーは僕含め数人だけでしたから、そこから全社を巻き込んでいかなければならないな、と思っていた状況でした。
 
また、そういう組織構造でやっていたため、各部門長は互いに仲は悪くないものの、業務上必要なこと以外はコミュニケーションを取らない、ある意味線を引いて、遠慮して、言いたいことがあってもどっちかが折れる、という雰囲気でした。だから会社全体の問題や、部門を超えた問題に取り組むのがすごく苦手で。みんなが「自分の問題ではない」と思っている状態でした。でもそれでは良くない。特に部門長層に関しては、彼ら自身が部門を超えた問題に取り組む姿勢を持たないと、現場もそうならないのは当然のことです。
 
そういう組織の悩みを抱えていた時に、以前経営していた古巣の会社でクエスチョンサークルを実施していると聞いたんです。私もよく知っているあるメンバーがこのクエスチョンサークルを経験して動きが変わったという話を聞いて「あの人が変わるのか!」と驚いたのを覚えています。
 
宮本:それは木村さんにとってはどのようなインパクトがあったのでしょうか。
 
木村様:その人は基本的に自分のペースで仕事をやっていくタイプ。悪くはないけど、積極的に別の部門にかかわって問題解決していくタイプではなかった。でも、クエスチョンサークルでの取り組みを経て、他部門のメンバーとのコミュニケーションを自ら積極的にやってくれるよう変わったと聞き、強く関心を持ちました。
 
座学とかセミナーは当社もやってきましたが、それではなかなか人は変わらないな、という実感を持っていました。いい話を聞いて勉強になったとしても、自分の仕事の問題解決に直結するものではないので、結局すぐ忘れてしまう。それでは行動につながらないな、と思っていたのです。でも、クエスチョンサークルは実際の現場での行動に変わっていると聞いて、これは自社でも導入してみたらどうだろう、と思ったのがきっかけですね。
 

 
 

クエスチョンサークルはチームビルディングに大きな効果があった

 
宮本:クエスチョンサークルは、誰を対象にした、どういう期待の取り組みだったのでしょうか。
 
木村様:部門長に対しては、先ほど話したような、互いに遠慮せずコミュニケーションを取り、部門間を超えた問題に取り組めるようになってほしい、という期待を持っていました。
 
また一方で若手に対しても実施しましたが、そこでは、これからの会社を担っていく人たちが、自分たちで組織を盛り立てていくとか、会社の問題を自分ゴト化していってほしい、と期待していましたね。
 
当社では理想の人材像を指す表現そして「自律、貢献、成長」という三つのキーワードがあります。これは「自分で考え、自分で決めて、自分で行動して責任を取る社員を増やしたい」という意味が込められています。自律できる社員が多いほうが変化に対応できて会社としても強くなると思うのです。自律できる社員のほうがモチベーションも高いはず。人に言われたことを嫌々やるよりは、自分で決めて自分で覚悟を持つからこそ、前向きに取り組めるんじゃないかと。そうやって前向きに取り組んでいる人たちがたくさんいる組織のほうが、働いていて楽しいと思うんですよね。
 
クエスチョンサークルをやってみての効果ですが、コミュニケーションが活性化したというはもちろんありますけど、参加者した現場の人達が、今までだったら自分は関係ないと思っていたような問題に対して「自分も関われることもあるかもしれない」という見方ができるようになってきました。参加メンバーのコミュニティは部門を超えた相談の場にもなっていますし、導入してすごく良かったと思いますね。
 
宮本:そうですね、私もプロジェクトにご一緒して、ついつい自分のことだけを考えがちな若手社員が、他部署のこと、全社のことも考えて、自分たちがいかに周囲を巻き込めるかという意識に変わっていったのは私も肌で感じているところです。まさに「自律、貢献、成長」を、彼ら自身が体現していっているように思います。
 
木村様:例えば、クエスチョンサークルに参加したある若手社員は、今度新しくできる工場の立ち上げに前向きに取り組んでくれています。本当は地元愛の強い社員なので、新設工場に行くのは悩んだようなのですが、それでもクエスチョンサークルを経験して、「自分たちでできることで、会社が変わっていくことがあるんだ」と信じられるようになったからだと思います。
 

建設中の新工場『IGA STUDIO』の内観

 
宮本:他にクエスチョンサークルを導入してみて感じた効果などはありますか。
 
木村様:ある意味、今はもう会社の「当たり前」になってしまっていますね。今の社員は「昔からこうだった」と思っている節がある(笑)。ただ、私から見ると明らかに以前とは全然違う。昔だったら遠慮しあっていたり、互いに言い出せないだろうな、と感じることが頻繁にあります。今では当たり前に部門長同士が仲良くなり、お互いの業務についても理解が深まっている。お互いに批判をし合うというようなことはもうほぼゼロになっていますね。
 
宮本:クエスチョンサークルでは「質問会議」というセッションを何度も行ったり、その間に360度アンケートを実施したりしましたが、その中で具体的に何が効果的だったのでしょうか。
 
木村様:取り組み全体が影響しているとは思いますが、セッションの中で問題を自分ゴト化した後に、他のセッション参加者がその問題について支援できることを表明し、お互いがフォローし合う関係を作ることができたことが大きかったと思います。分かりやすく言うと、Aさんが自分ゴト化した問題について、他の参加者たちが「Aさんの事業部の会議に私が出ます」などと具体的なアクションを宣言してフォローし合うので、それがきっかけとなりその後の業務がやりやすくなったという効果はありました。
 
ただ表層的な問題だけをお互いが話し合っただけでは、お互いにフォローし合う、という風にはならなかったと思います。お互いが自己開示し、問題をきちんと自分ゴト化するプロセスを見せ合って、その場で共有できたから、フォローするほうも自ら進んでやろうという気持ちになれたのかな、と。
 
宮本:自部署の問題って、じつは自部署だけでは解決できないことが多いですよね。ちょっと他部署に協力してもらえるだけで、組織って変わるんだな、というのを木村石鹸の取り組みを通して感じました。
 
また、クエスチョンサークルはセッション中の取り組みもさることながら、セッションとセッションの間の(約1か月間の)インターバルで、どれだけ職場での変化を作ることができるか、が大事だと思っています。そういう意味で言うと、先ほどおっしゃっていた、セッションの中で行動計画まで落として、それに対して他の参加者がどうフォローできるかを実際に考え、行動して、変化を作っていけたということが、この取り組みが上手く組織の変化につなげられた要因だったのではないかと感じています。
 

 
 

クエスチョンサークルは自律型の組織を目指す会社に向いている

 
宮本:木村さんからご覧になって、クエスチョンサークルはどういう組織に向いていると思いますか。
 
木村様:いわゆる従来のヒエラルキー型で、トップダウンで指示されたことを確実に実行して、組織の戦略が明確に決まっている、という組織には必要ないと思います。ただ、そういう組織は今の世の中では変化に対応していけないという難しさもある。現場が自分で考えて行動していくような、自律型の組織が今注目されているのは、トップダウン型の組織が必ずしも機能しなくなってきているということが背景にあると思うんです。だから、自律型の組織を作りたい、自律型の人材を育てたいと考えている会社にとっては、クエスチョンサークルはすごくいい取り組みだと思います。
 
現実的には、やはり会社で生じる問題に対して、ほとんどの場合は社員にとって自分ゴト化されないですよね、自分以外の誰かが解決するもの、あるいは会社が悪いからっていう意識がある。でもその状態だと何も変わっていかない。だから自律型の組織に変えることで、問題を自分ゴト化できる人たちが増えていけば、変化に対応していけるし、会社も良くなっていくのではないかと思っています。クエスチョンサークルをただ導入すればいいというわけではなく、経営者や参加者がしっかりと向き合って真剣に取り組むことができれば、変化は確実に起きる。そう思います。
 
宮本:私たちもまさにそういう課題感を持つ企業に対して価値を提供していきたいと思っています。
 
木村様:難しいのは、ただ単に「コミュニケーション取れ!」って命令しても取ってくれないじゃないですか。昔は飲みニケーションとか、タバコ部屋とか、非公式の場でのコミュニケーションでうまくフォローされていた部分もあると思うんですよ。でも、今はプライバシーの問題やセクハラ、パワハラの問題もあるので、非公式の場で会社のことを話題にすること自体が難しくなっている。飲みニケーションもお酒が苦手な人が増えてきて難しくなっている。そんな状況では、自分の業務の範囲外のことに対して無関心にならざるを得なくなっている気がします。
 
だからこそ、クエスチョンサークルのような取り組みは、組織のコミュニケーションを活性化させるとか風通しを良くするといったことにすごく意味があると感じています。
 
宮本:ありがとうございます。ぜひ今後も木村石鹸の組織づくりをお手伝いできればと思っています。
 
木村様:ぜひ!今後とも引き続きお願いします!